電気自動車用充電器の設置に必要な工事と電気設備の基本

目次

電気自動車用充電器の設置に必要な工事と電気設備の基本

EV充電器の工事って難しい?

結論から言うと、充電器の設置工事自体はそれほど難しくありません
基本的には次の2つを行うだけです:

  1. 電源(分電盤)から充電器までの配線工事
  2. 間にブレーカーを設置して保護をする

しかし、問題はそこではありません。重要なのは「どれくらいの電気を流す必要があるか?」を決めることです。
この判断には、車の使い方や充電時間、契約電力の空き状況などの設計的な視点が必要になります。

誰が何を決めるべきなのか?

EV充電インフラ導入には、以下のような複数の専門知識が必要です。

項目

担当すべき専門領域

車の使い方と充電パターン

自動車販売店/ユーザー自身

電気契約・空き容量の判断

ユーザー自身(新築の場合は設計事務所・ゼネコン)

配線設計・機器選定

電気工事業者が提案(本来は充電器の選定はユーザー自身)

機器仕様・運用ルールの整備

充電器メーカー・システム提供者(運用はユーザーが決め、対応できる機器を選定する)

本来はユーザーが使い方と電気契約を説明して充電器や電気設備、将来の拡張性を検討して配線工事を決める必要がありますが現状は、これらすべてを横断的に理解・説明できる人材がほとんどいないのが実情です。

 

補助金で対応

充電器の導入は検討する時間や手間も必要ですが、一番のネックはコストがかかる為補助金が多く出ています。

課題として、検討するべき内容とのギャップがあります

  • 補助金には工事の内容より要項に合致しているかが重要
  • 「補助ありき」で動く業者が工事の仕様より満額採択を重視する
  • 補助が終わると事業が成り立たず、また補助金を求める「依存のループ」に陥る

目先の充電インフラだけが増加するだけで日本の充電インフラはいつまで経っても自立できないという懸念があると感じています。

配線とブレーカーの基本ルール

EV充電器の設置に関わる基本的な電気工事内容を簡単に紹介します。

配線サイズの決め方

  • 配線の太さ(電線サイズ)は、充電器の最大出力に応じて決まります
  • たとえば3kWの充電器なら、おおよそ2.0mm²〜3.5mm²相当の線が使われます
  • 配線が長くなる場合は、電圧降下防止のためさらに太くする必要があります

ブレーカーの役割

  • ブレーカーは配線を保護するための装置です
  • 一般的に**漏電遮断器(感度15mA推奨)**が使われます
  • ブレーカーのA数(例:20A)は絶対値ではなく、許容の目安。21A流れたら即落ちるわけではありません。外気温度が高いと数値より早く落ちます。

充電器の出力が決まれば、充電器までの配線は専用にになりサイズが決まり、

配線サイズにあうブレーカーも自動的に決まります。

設備改修が必要になるケースとは?

  • 既存の建物に充電器を設置する場合、配線の増設・太線化・ブレーカーの追加/交換などが前提になります。
    とくに電気契約や既存設備の容量によって、次のように対応が分かれます。

    ✅ケース1:余剰電力の確認

    • 深夜など電力使用量が少ない時間帯に充電できる
    • 既存契約・既存設備のまま工事費を抑えて導入可能
    • ポイントは「使っていない時間帯の空き容量を把握」すること
      →これはその家・建物の利用者にしか分かりません

    ⚠️ケース2:容量が足りない場合

    • 設備増設(分電盤・幹線・トランス等)+契約電力の変更が必要
    • 10万円〜数百万円の工事費がかかる可能性あり
    • 高出力(6kW〜10kW)を求めるほどコストも上昇

中〜大規模(法人・複数台導入)での注意点

  • 事業者が複数のEVを導入する場合は、次のような設計的な視点が必要です:

    • 契約種別(従量契約 or デマンド契約)を確認する
    • 同時充電台数を制限するスケジューリング制御を導入
    • 使用時間をずらすことで契約電力を超えない運用設計を行う

    🔧電気工事業者だけで判断するのは困難なので、設計者・メーカー・システム提供者の連携が必須です。

まとめ:充電器導入の要は「使い方」と「余力の見極め」

  • 工事自体は簡単でも、「どの程度の電気が必要か?」の設計が肝
  • 電気工事業者ではカバーしきれない領域が多い
  • 設備容量が足りるか?→使い方を分析すれば無改修でも導入可能な場合も

中〜大規模では契約や負荷管理を含めたインフラ設計視点が必須

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