自動車産業は『電気でリセット』される──新興国がBEVを選ぶ理由と、誤解しがちな「HEV中心の論調」

目次

1. EVではなくHEVの記事が多いと感じてしまう

国内メディアでは「HEVが再注目」「BEVは踊り場」などの論調が目立つ。
しかしそれらの多くは 日本国内の事情だけを見た議論 であり、
世界、とくに 新興国市場で起きている本質的なゲームチェンジ を捉えていない。

新興国・成長市場が向かう方向は極めてシンプルだ。

  • ゼロからつくるインフラなら、「ガソリンより電気」のほうが早い

・ガソリンスタンド網を新設するのは莫大なコストがかかる

・今更化石燃料のインフラを作るのか?
・既存電力インフラをベースにした充電インフラの方が早くて安価
・スマホ・インターネットが無線で一気に普及したのと同じ構造
 → 新興国はEVのほうが合理的

  • 工場誘致を狙う新興国から見ると、EV工場は最も魅力的

・中国勢が次々と海外工場を建設
・バッテリーとEV生産は雇用・投資が大きく、政府も積極的
 → 今後成長する産業を呼び込める=BEVが主流になるのは当然

 HEVは「日本の得意分野」だから日本市場では強い
 しかしそれは日本の事情であり、世界の競争軸ではない。

2.新興国で起きていること :EVが「最初から主流」になりやすい理由

  1. インフラ整備のハードルが段違い

ガソリンは 新規インフラ整備が重い
生活インフラ(電気と水)すでにある
差は圧倒的だ。

新興国政府が選ぶのは当然こうだ。

「追加のインフラコストが低く、自国で開発できる可能性があり成長が見込まれる産業」=EV

  1. 2輪EVの爆発的普及が市場全体の電動化を加速

東南アジアや南アジアでは圧倒的に二輪が多い。
ここが一気にEV化すると、
「充電=当たり前」 の社会環境が整い、四輪EVも一気に浸透する可能性が高い

  1. 価格が下がれば、消費者はパワートレインの違いに興味がない

最重要ポイント

  • 購入者は「EVかHEVか」ではなく「コスト」で決める

ユーザーの本質は

  • 総支払額が安い
  • 燃料代(電気代)が安い
  • 維持費が安い
  • 故障が少ない

これを満たせば、
「ガソリン」「ハイブリッド」「EV」「ディーゼル」など関係ない。

たとえばスマホで「AndroidかiPhoneか」で悩む人はいても、
値段と性能のバランスが良ければ、中国製だろうと新興ブランドだろうと売れる。
車もまったく同じ構造になる。

そして、世界で最も価格を下げられるのは大量生産が進むEVである。

それが中国の戦略で世界中が巻き込まれている感がある。

3.日本の“HEV中心の議論”が見誤る3つのポイント

国内の記事は「日本でHEVが売れている」「海外でも再注目」などを並べる。
しかし、それを産業論と混同すると危険だ。

① 日本はガソリンスタンド網が既にある

→ 既存インフラのしがらみが判断を鈍らせる

② 日本はHEVの技術蓄積が世界トップ

→ 日本の強みを「世界の当たり前」と誤解する

③ 日本市場だけを見ている事が多い気がする

→ EV市場の成長の中心は中国+新興国。日本の事情は世界の例外。

つまり、
日本市場の数字を世界の本流と勘違いして論じる事が多すぎる

4.世界の自動車産業は“電気を前提”に再設計されている

EVがいま乱売・価格競争になっているのは、
普及初期に必ず起きる正常な現象

そして次の段階で必ずこうなる。

  • 大規模生産で車両価格がさらに下がる
  • 電池の仕組みが規格化され、コストが劇的に低下
  • サプライチェーンが整い、新興国でもEV工場が増える

そうなったとき、ユーザーはこう考える。

「結局、安くて維持費が安いならEVでいい」

そしてメーカー側もこう判断する。

「世界を相手にするならEVをやらなければ産業が残らない」

これは価値観ではなく、産業構造の話だ。

5.まとめ:新興国はEVが主流になる。日本の自動車会社はそれを知っていて恐れている?

  • 新興国はEVの普及が早い
  • 工場誘致もEVに集中?
  • インフラ整備コストから見てもEVが合理的
  • 価格が下がれば消費者はパワートレインにこだわらない
  • 日本のHEV優位は「国内市場限定の現象」

世界市場のゲームチェンジはすでに始まっており、
EVを軸にした新産業構造が形成されつつある。

日本がHEV中心の議論で時間を浪費すれば、
間違いなく「世界の競争」から取り残される。

必要なのは、
日本もEVユーザーを増やして日本の自動車メーカーの後押しすることなのかもしれない

中国メーカーに勝てるかどうかは別として・・・